人がフィクションに求めるのは結局のところ現実逃避だな、と改めて思ったのがモチーフでした。
そのフィクションの舞台が現代だと自分の現実と比べてどうか、おかしくないかの点検が始まりますが、それは仕方なく(否応なく)で本当はリアリティーなんかどうでもいい、気にしたくない、なるべく現実から離れたい、それが正直なとこだろうと。
それで昔々の話を書こうと思いました。場所は日本でもいいし異国でもいい。どこを当てはめても成立するし、好きに膨らませられるもの。そのために設定や描写を工夫したつもりです。
とは言っても人によっては身近に感じリアルかどうかの点検をしてしまうかもしれません。と言うのは具体的にストーリーを考えたとき思い浮かべたのは「地方」でした。
日本にも住むのが過酷な場所はたくさんあって、しかし人が住んでいるのはなぜか。住みやすい場所は昔から人が集まり、集まれば競争や諍いは絶えず、それを避けた者、敗れた者は散り散りになって過酷な土地に、むしろ人が住みにくいからこそ居着いて根を張っていったんじゃないか。
そんなところから舞台を設定していったので、読者によっては「なんだそんなに違わねぇな」となるかもしれない。「こっちはもっと過酷だぞ」とか。
ストーリーはとにかく娯楽に徹しようとしました。サスペンスでアクションでラブストーリー。刈り込んで会話は最低限にし動きで見せようと。
今までと違うことをしたかったんですね。今まで書いたものも悪くないと思ってますが爆発的には売れてない。おんなじことをしても変わらないと、本人はそのつもりでした。テーマみたいなものもうるさく言うのはよそう、今までさんざんやったじゃないと。
そうは言っても劇的に変わることはないはずなので、はたから見ると「そうでもないよ」かもしれません。
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