【 犬友 】 について

「あるハワイの芸術家」の続編です。

前作を書き終えたあと母親のケイトが不幸なままな気がしました。クリスの生い立ちについては大雑把だな、と思いました。

それらはそれらで構わないし、前作だけで独立した作品なのですが、そこらを書くとどうなるか、本作以降の3編のストーリーが次々浮かび、書くことにしました。

本来は続編などあまり書かない方です。新しいものが書きたい。続きものは縛りが多いし、複雑になったり長くなったり苦労が多い。それでいて最初のものを超えることはまずない。

しかしこの一連はむしろ続けること、同じ時間を別のキャラクターで繰り返すこと、以前になかった出来事を新たに見せること、それらが一番最初の「あるハワイの芸術家」で書いたテーマを補強すると思いました。

本作はケイトが主人公です。

現在の新たな出会いと過去の思い出を交互に見せる造りで、それだけでもかなり複雑な構成ですが、過去の部分は順を追ってます。順を追って見せるために現在の出来事を作っていった、と言う方が正しいでしょう。都合よく繋がり過ぎかもしれませんが、「都合よく」と思われたらそれはそれ、それがメインテーマですから。

つまり前作ではっきり言葉にしたテーマを、本作以降はストーリー全体で表現しようとしています。

ストーリーづくりで注意したことは、まず過去に矛盾がないこと。起こった出来事は動かせませんから、時期や場所やセリフを一致させました。それでいて各キャラクターの感じたこと、相手に対して思ったことのズレを見せる。

連作するうえで心がけたのは、1つ1つを独立させることです。

すべてを続けて読んで欲しいのは当然ですし、すべてを読むことでさらに伝わるものがあるはずですが、しかし1つだけでも物語として不足がない、それが最低限条件でした。「次作を読まないと謎が解けない」というのは嫌だったんですね。物欲しげで。

でも「続きがあるなら読みたい」とも思ってもらわないといけない。そこらの調整が難しいところでした。


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